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■水いぼ(伝染性軟属腫)
湿疹や乾燥肌のところに、伝染性軟属腫ウィルスがついて広がる感染症です。良性で、6ヶ月~2年で自然に消えていくとも言われていますが、少しづつ大きくなり、他人にうつるために早期に(数が少ないうちに)処置することが望ましいです。もちろん、放っておいても構いませんので、強制的にとることはしません。
【治療する場合は】
・専用の水いぼピンセットでつまんで取ります。
・痛みはわずかですが、はじめに痛い思いをするとその後の治療に協力してもらえません。痛みを和らげるためにペンレス(局所麻酔シール)を貼っていただくこともあります。
・治療後はわずかに出血がありますが、当日からシャワーを浴びることもできます。
【注意すること】
・うつりますから、直接触れ合わないようにしましょう。
・タオルなどの共有は止めましょう。
・プールは必ずしも禁止ではありません。水いぼのあるところを覆ったり、水着で隠れる部位であれば原則として問題ありません。
・入浴はシャワー程度にし、よく洗いましょう。
【予防のポイント】
ドライスキン・湿疹・アトピー性皮膚炎のある方は治療をきちんと行いましょう。
■いぼ(尋常性疣贅)
ヒト乳頭腫ウィルスという、いぼのウィルスの感染による良性腫瘍です。手や足などの小さい傷のできやすいところから感染します。放っておくと大きくなり、次から次に別の部位に広がります。足の裏ではウオノメやタコと勘違いし、スピール膏を貼って悪くさせてしまうことがあります。
【治療について】
放っておくと大きくなり、また他に感染させるために治療が必要です。当院では基本的に1週間に1回~2週間に1回程度、液体窒素療法を行っています。
小さいお子様で液体窒素療法の痛みが強い場合には、軽く窒素し、フェノール液やモノクロル酢酸液の塗布を併用したり、フェノール液やモノクロル酢酸液の塗布のみで治療する場合もあります。フェノール液やモノクロル酢酸液の塗布のみですと長期化することもありますので、慣れてきたら液体窒素療法に変更するなど、臨機応変に対応していますのでご相談ください。その他、漢方薬(ヨクイニン)内服、ビタミンD3(オキサロール)外用、スピール膏塗布、20%グルタルアルデヒド液(ステリハイド)塗布などを併用する場合もあります。なお当院ではレーザー治療は行っておりません。
【注意すること】
・大きくさせないため、他の部位に感染させないために、いじらないようにしましょう。
・大きくしてしまうと、個人差はありますが治療に半年~1年以上かかる場合もあります。早めに治療を開始することが肝心です。
■とびひ(伝染性膿痂疹)
湿疹や乾燥肌、虫刺され、ケガのところに黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌がついて広がる感染症です。放っておくと、あっという間に全身に広がります。
【治療について】
・患部に抗生剤の軟膏を塗布しガーゼで覆います。もともと湿疹がある場合にはステロイド剤を外用したり、搔くと拡がりますのでかゆみ止め(抗アレルギー剤)を内服したりすることもあります。
・感染症ですから、抗菌剤(抗生剤)の内服もしますが、耐性菌の存在や細菌に対して感受性のない抗生剤もあるので、初診時に患部より細菌培養を行うこともあります。可能なかぎり、細菌を同定し抗生剤を選択し、効果のない抗生剤を長期に内服することがないようにしています。
【注意すること】
・うつりますから、直接触れ合わないようにしましょう。
・プールはしばらく控えましょう。
・入浴はシャワー程度にし、よく洗いましょう。
【予防のポイント】
・体を清潔にしましょう。
・爪は短く切り、手をきれいにしましょう。
・鼻をいじるのを止めましょう。
・虫刺され、すり傷を早めに治しましょう。
・ドライスキン・湿疹・アトピー性皮膚炎のある方は治療をきちんと行いましょう。
■アタマジラミ症
・シラミはヒトに寄生して血を吸う昆虫で、ヒトに寄生するシラミはアタマジラミ・コロモジラミ・ケジラミがあります。なかでも、頭髪に寄生するアタマジラミは最近でも接触が密な乳児・児童に集団発生することがあり注意が必要です。
・成虫は2~3ミリ大なので、肉眼でもわかりますが、卵だけの場合はフケ症に似ています。フケは簡単に手で取れますが、卵は毛髪にしっ かり固着してなかなか取れません。
・頭髪の接触やタオル・ブラシの共有、帽子の交換などから周囲の人に広まりますので、見つけたらすぐに治療することが大切です。
【治療について】
・成虫や卵の駆除のためにスミスリンシャンプー・パウダー(市販されています)を使い、2日おきに3~4回シャンプーします。卵には効果がないため、卵が孵化する期間(約7日間)も含め充分にしていただきます。
・家族間で感染することが多いので、家族で同時に治療すると有効です。
・かゆくなり、湿疹を起こしたり、リンパ節が腫れることもあります。
【注意すること】
・頭になおりにくい湿疹があったり、簡単には落ちないフケ症で困っている方は頭じらみの可能性もありますので、ご相談ください。毛についている卵は特徴があり、顕微鏡でみるとすぐわかります。
【予防のポイント】
・洗髪を充分にして、清潔にしましょう。
・寝具を清潔にしましょう。
・帽子・ブラシ・タオルの共有は避けましょう。
■じんましん
じんましんとは、小さな皮膚のふくらみ(膨疹)、赤み(紅斑)、ミミズ腫れが痒みを伴って突然現れ、数時間から24時間以内に跡形もなく消え、出没を繰り返す疾患です。そのため、受診時には発疹が消えていることも多いですが、経過からじんましんと診断することができます。
じんましんには、特定の刺激や誘因なくあらわれる「特発性じんましん」と特定の刺激に反応してあらわれる「刺激誘発型じんましん」があります。じんましんの約7割以上が実は「特発性じんましん」で、原因が明らかではありません。誘因が明らかでない「特発性じんましん」でも多くの場合、疲労やストレス、お子様の場合はかぜなどの感染症などさまざまな因子が症状を悪化させることが知られています。「刺激誘発型じんましん」には食べ物、お薬、日光、寒冷、温熱、運動、発汗、摩擦などが誘因となることがあります。
治療は、特定の刺激に反応して症状があらわれるタイプの場合には、刺激を避けることが重要であり、自発的に症状があらわれるタイプの「特発性じんましん」の場合では、抗ヒスタミン薬内服が基本となります。
第一目標として、治療により症状があれわれない状態にするために、ステップ1として10種類以上はある抗ヒスタミン薬の中から、なるべく眠くなりにくい薬剤を選択します。また薬剤の血中の濃度がすぐに高まるもの(作用発現が早い)や作用時間が長いもの(1日1回の内服でよい)など、薬剤の特徴を考え投薬します。症状の改善が乏しい場合には、抗ヒスタミン薬の増量、他剤への変更、2~3剤の併用などを行います。改善の乏しい薬剤を長期に使うことがないように、患者様に合った治療を心がけています。通常の抗ヒスタミン薬だけでは難治な場合や4~6週間以上経過した「慢性じんましん」ではステップ2として、H2拮抗薬や抗ロイコトリエン薬、さらに難治な場合にはステップ3としてステロイド内服投与を行うこともあります。
最終目標として無治療で症状があらわれない状態にするために、ステップを踏んで治療を行っていき多くの方では最終的には改善します。しかし4~6週間以上経過した「慢性じんましん」の患者様では、数ヶ月~数年単位で投薬を継続していくケースもありやや根気が必要です。そのため患者様の負担に配慮し、精神的な不安を取り除きながら治療をするように心がけております。
■帯状疱疹
赤い発疹や小さな水ぶくれが、体の左右どちらか片側の神経分布領域に、帯状に現れます。
多くの場合、ピリピリとした違和感、痛み、かゆみなどの自覚症状を伴い、腕や胸、背中に症状が出ますが、顔や首などに現れることもあります。発症初期は痛みのみで、発疹が遅れて出てくることもあります。また、虫さされや湿疹と勘違いされることもあり注意が必要です。
原因は「水痘・帯状疱疹ウィルス」で、多くは疲労、ストレスなど体の免疫力が低下した時に発症します。治療は、発疹が出てからできるだけ早期に、「抗ウィルス薬」の内服を開始していただくことがとても大切です。特に高齢者では、治療が遅れた場合、強い痛みが長期に持続したり、帯状疱疹が治った後も何ヶ月、何年も痛みが残ってしまう「帯状疱疹後神経痛」になる可能性があります。
「帯状疱疹後神経痛」に移行した場合や急性期の激しい疼痛には、神経障害性疼痛に用いられる「プレガバリン」を内服していただくこともあります。
【帯状疱疹ワクチン接種について】
当院では、50歳以上の方を対象とした帯状疱疹ワクチン接種を行っております。ワクチンは帯状疱疹を完全に予防するものではありませんが、接種することにより帯状疱疹の発症率・神経痛移行率が減少するデータが上がっています。
帯状疱疹ワクチンには、生ワクチン(乾燥弱毒性水痘ワクチン)と不活化ワクチン(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)の2種類があります。帯状疱疹ワクチン接種ご希望の方は、ご相談ください。
≪乾燥弱毒生水痘ワクチン≫
・50歳以上
・1回の接種(皮下注射)
・料金 8.000円(税込・自費)
・生ワクチンのため、免疫抑制状態にある方は接種できません。
・接種後、3日~1週間接種部位の痛み、腫れ、発赤がみられる場合があります。
・新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔は互いに2週間必要です。
≪不活化ワクチン≫
・50歳以上
・2回接種(筋肉注射)※2ヶ月後に2回目、遅くとも6ヶ月後までに接種
・料金 1回22,000円(税込・自費) 2回合計で44,000円(税込・自費)
・接種後、3日~1週間接種部位の痛み、腫れ、発赤、筋肉痛、全身倦怠感がみられる場合があります。
・免疫が低下している方にも接種可能
《ご予約~接種の流れ》
・受付またはお電話でご相談ください。
・不活化ワクチン(シングリックス)は事前に1回目の代金をお支払いいただいてから薬剤を取り寄せます。接種日の1週間前までに受付でお支払いをお済ませください。ご予約後のキャンセルはいたしかねますので予めご了承ください。
・接種当日、問診票にご記入いただきます。体温を測ってからご来院いただくとスムーズです。
・接種後、お会計になります。接種後15~30分院内で待機していただきます。不活化ワクチン接種の方はその間に、2回目のご予約・代金お支払いをお願いいたします。
・当院は現金のみの取扱いとなります。
帯状疱疹ワクチン2種の比較
乾燥弱毒性水痘ワクチン | 不活化ワクチン | |
---|---|---|
ワクチンの種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
接種回数 | 1回(皮下注射) | 2回(筋肉注射) ※2ヶ月後に2回目 遅くとも6ヶ月後までに接種 |
発症予防作用 | 約50~60% | 約90%以上 |
帯状疱疹後神経痛予防作用 | 約67% | 約90% |
持続期間 | 5年程度 | 9年以上 |
副反応 | 接種部位の痛み、腫れ、発赤 3日~1週間で消失 |
接種部位の痛み、腫れ、発赤 筋肉痛、全身倦怠感 3日~1週間で消失 |
料金 | 8,000円(税込) | 22,000円/1回(税込) 2回合計 44,000円(税込) |
長所 | ・1回で済む ・値段が安い |
・免疫が低下している方にも接種できる ・予防効果が高い ・持続期間が長い |
短所 | ・免疫が低下している方には接種できない ・持続期間が短い |
・痛み、注射部分の腫れが強い ・2回目接種が必要 ・値段が高い |
■乾燥肌
【皮膚のバリア機能について】
皮膚はわたし達のライフスタイルを映す鏡のように、環境の影響を受けて変化しつづけます。皮膚科を受診される患者様には皮膚病についての知識はもちろんですが、そのベースにある皮膚そのものの機能についてもしっかり理解してスキンケアをしていただければと思っています。
「そもそも皮膚って何なの?」ということですが、少し難しくいうと皮膚もひとつの臓器であり大切な防御器管(バリア機能)といえます。臓器または器管というと、ふつう心臓や肝臓のような内臓をイメージするかと思います。しかし、わたし達にとって身近な皮膚もひとつの臓器であり、わたし達の体を包み、環境から守る働きをする大切な防御器管(バリア機能)といえます。環境から身を守るという目的からみると皮膚の一番表面にあるたった0.02ミリ(20ミクロン)の薄さしかない角層という膜の働きが大切です。実はこの角層は、わたし達の体から落ちる垢(アカ)からできた膜であり、これがバリア機能として大切な働きをしています。
皮膚の細胞(表皮細胞)が、表皮の一番下にある基底細胞から分化し、ゆっくりと最終産物である角層をつくっていきます。この皮膚の細胞(表皮細胞)が皮膚の表面から垢(アカ)として剥け落ちるまでの過程を、細胞の入れ替わり、つまりターンオーバーといいます。このターンオーバー時間はトータルで約40~50日かかります。これくらい長い期間をかけてつくられたバリア機能として大切な角層(垢)を、わたし達は不適切なスキンケアによってしばしばあっという間に壊してしまっています。
【乾燥肌(かさかさ)について】
正常の皮膚では、角層の細胞は密に配列し、表面を皮脂膜が覆い、バリア機能を保っています。しかし、乾燥肌では、角層が剥がれ落ち、角層の表面をコーティングしている皮脂膜が傷つき、天然保湿因子、角質細胞間脂質が欠乏し角層がすかすかであるために水分が蒸発し、皮膚が乾燥します。
たとえば、乾皮症(皮脂欠乏症)では加齢や洗いすぎにより、角層が壊され、皮脂膜が傷つき、天然保湿因子、角質細胞間脂質が欠乏し、バリア機能が壊された状態です。冬になり大気は乾燥すると同時に、とくに日本人はナイロンタオルで必要以上に皮膚をこすって洗う習慣があるために悪化しやすくなります。
こうした乾皮症(皮脂欠乏症)の場合は、洗いすぎ・擦りすぎをやめて、入浴後に保湿剤を外用してスキンケアをきちんとすると改善します。
【スキンケア法について】
具体的な入浴方法は毎日お風呂に入っていれば、汚れるところは別にして、石鹸をつかってごしごし洗う必要はありません。特にすね(下腿伸側)、おなか(側腹部)など皮脂が欠乏しやすいところでは、極端に言うと水で流す程度か固形の石鹸を軽く泡立てる程度で充分です。というのは角層は何もしないでも1日に1層ずつ、表面から垢(アカ)としてむけ落ちるからです。いくら、さっぱりとして気持ちがいからといっても、乾布摩擦のようにどんなに擦っても鉄のような皮膚に鍛えることはできません。
年配者の乾皮症(皮脂欠乏症)だけでなく、小児でも新生児期をすぎると皮脂の分泌が少なくなり、角層のバリア機能も未熟なため、ドライスキンになり、しばしば湿疹をおこします。ここでも先ほどと同じように入浴と保湿剤によるスキンケアをすることで予防が可能です。
皮膚はわたし達の体を包み、環境から守る働きをする大切な防御器管(バリア機能)です。特に角層のバリア機能が大切です。たった0.02ミリの薄さしかない角層を壊さないように皮膚の構造を理解して、症状に合ったスキンケアをしていただければと思います。
■花粉症
当院では花粉症のお薬を処方しています。 おもに第2世代抗ヒスタミン薬を処方しますが、市販薬や第1世代抗ヒスタミン薬にみられるような眠気、口が渇くなどの副作用が軽いものが多くあります。仕事や学業に支障をきたさず、しっかり症状を抑える薬剤を選択することが大切です。 1日1回内服でいいもの、2回のもの、速効性があるもの、持続性のあるものなど、各薬剤の特徴は様々です。また小学生でも内服可能な眠くなりにくい錠剤もあります。少なくともスギ花粉飛散が本格化する1~2週間前から飛散終了時期まで内服していただくとより高い作用が得られます。本格飛散のピーク時には、症状に応じて鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)、内服ステロイド薬を1~2週間の短期間、組み合わせて使用する場合もあります。お気軽にご相談ください。
当院では採血検査によるアレルギー検査も行なっております。詳しくは■MAST36アレルギー検査をご覧ください。
■スギ花粉皮膚炎
スギ花粉の飛散がはじまると、顔面にかゆみのある発赤が起こることがあります。とくに、上瞼や目尻、頬、あご、首にみられます。多くの方では、花粉症を持っていますが、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状が強くない方にも起こります。治療は抗アレルギー薬のほかに、弱いステロイド外用薬を使用することもあります。
■虫さされ・ハチ刺症・ハチアレルギー抗体検査・エピペンについて
【虫さされ】
4月以降、気温が上がってくると夏前でも蚊の発生頻度が高くなります。とくにゴールデンウィーク以降は屋外レジャーで蚊に刺されることが多くなります。蚊でも種類によっては、患部が赤く腫れて痛くなり、歩くのも困難になることや、お子様の場合は、かき壊して皮膚症状が拡大し、とびひ(伝染性膿痂疹)になってしまうこともあります。またブユに刺された 場合は、さらに症状がひどくなる場合があります。レジャーで山や川に出かける際は、可能なかぎり、皮膚を露出しないことや虫よけスプレーでの対策も必要です。刺されたあとは、患部を冷やすことが有効ですが、発赤、かゆみが強い場合は、強めのステロイド剤外用と抗ヒスタミン薬内服、腫れが強い場合はステロイドの内服、二次感染が疑われる場合は抗生剤の内服も必要になることがあります。特にハチに刺されたあと、急性期に蕁麻疹や呼吸困難、血圧低下など(アナフィラキシー)がみられた場合は、すぐにアドレナリン投与などの救急対応が必要になり注意が必要です。
【ハチ刺症】
アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチに刺されるとアナフィラキシー症状を起こす可能性があります。アナフィラキシーは即時型アレルギー反応の重症型で、たった1匹のハチの刺咬でも誘発されます。局所の症状としては刺された部位の発赤、腫れ、痛みですが、全身症状として全身のかゆみや蕁麻疹などの皮膚症状のほか、中等症では悪心・嘔吐などの消化器症状が出現し、呼吸困難などの呼吸器症状を生じた場合は重症で、もっとも重症の場合は血圧が急激に低下し死に至ることがあります。
【ハチアレルギー抗体検査について】
検査としては、ハチ刺症であれば、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチについて血液検査で、ハチ毒特異的IgE抗体を調べることができます。通常クラス2以上の値が得られた場合は、次回のハチ刺症の際に即時型アレルギー反応を生じる可能性があります。
ただ、クラス0であってもハチに刺されてショック症状を生じることもあるので、あくまで参考所見となります。
当院では、アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチのIgE抗体検査を行っておりますので、ご相談ください。
アシナガバチ、スズメバチ、ミツバチのIgE抗体検査
初診の場合:2400円(初診料+検査代:3割負担) 再診の場合:1910円(再診料+検査代:3割負担)
*注意事項
今回、初めてハチに刺された場合、血清中の特異的IgE抗体価は刺咬直後には上昇しないため、血液検査はハチ刺症から1ヶ月以上経過した後に行うことが望ましいです。
【エピペン(アドレナリン自己注射薬)】
エピペンは、アレルギーの原因物質(例えばハチ、食物)などによってアナフィラキシーがあらわれたときに使用し、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。あくまでも補助治療剤なので、アナフィラキシーを根本的に治療するものではありません。院長はエピペン注射薬登録医です。重篤なアナフィラキシーの既往歴やアナフィラキシーを発現する危険性のある方に対してのみ、エピペン(アドレナリン自己注射薬)の院外処方箋を発行しています。(保険適用)
*注意事項
院内でのエピペンのお渡しは、現在しておりません。
0.3mg製剤が体重30kg以上で処方可能となります。
■イムノキャップ ラピッド アレルゲン8 アレルギー検査 (当院では主に12歳以下の方対象)
8つの吸入系アレルゲン(ダニ・イヌ・ネコ・スギ・シラカンバ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ)を指先からの採血により調べることができます。(場合によって足底から)
【特徴】
① 指先(足底)からの採血で小さなお子様でも検査を受けられます。(注射器を使いません)
② 判定まで20分ですので、当日に結果がわかります。
【この様な方はご検討ください】
① 注射器を使う採血が難しいお子様(生後半年~12歳以下)
② 花粉症などのアレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水)の原因を知りたい。
③ アトピー性皮膚炎の環境的な悪化要因を知りたい。
④ ペット(犬・猫)を迎える前に、現時点でアレルギーがあるか知っておきたい。
結果は、陰性、陽性、強陽性の3段階で判定します。
<イムノキャップ ラピッド アレルゲン8による検査の料金> 3,180円(3割負担の場合)保険適応ですが、初再診料、処方料(処方箋がある場合)などは別途必要です。
【注意事項】
血液検査は原則として、注射器を使う採血が難しい12歳までの小児を対象とさせていただきます。また血液検査に適さない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
13歳以上(中学生以上)の血管からの採血が可能な小児から成人で、より詳しく知りたいという方に36項目のアレルゲンを調べられる「MAST36アレルギー検査」を行っております。
■MAST36アレルギー検査 (主に13歳以上の方対象)
一度の血液検査で36項目のアレルゲンをまとめて調べることができます。
アトピー性皮膚炎の悪化要因を検索したい場合や、くしゃみ・鼻水などの鼻炎症状、顔のかゆみなどの原因が花粉アレルゲンなのか環境アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、ネコ、イヌ、カビ)なのか調べたい場合、またスクリーニング検査として知っておきたい場合などにもMAST36で調べることができます。原因アレルゲンを知ることにより、アレルゲンの回避、対策を行い予防することができます。
ただし、食物アレルゲンの場合は、「検査結果が陽性=食物アレルギー」とは断定できません。
そのため陽性だからといって、安易に食物制限を始めることはお勧めしません。また検査結果が陰性であってもアレルギー反応が起こることもあります。食べると症状が出る食物を除去するのが基本となります。
また蕁麻疹の場合、多くはアレルギー性ではないため、アレルギー検査で必ずしも原因が判明するわけではありません。血液検査が必要かどうかの判断は、臨床症状に基づいて行いますので、ご理解のほどお願いいたします。
MAST36による検査の料金 4,830円(3割負担の場合)
保険適応ですが、初再診料、処方料(処方箋がある場合)などは別途必要です。
個別にアレルゲンを知りたい場合:
1項目による検査の料金 870円(3割負担の場合)
1項目追加につき330円づつ加算されます。(13項目まで検査可能)
(たとえば、ダニ、ハウスダスト、スギ、ヒノキの4項目のみ→1,860円)
13項目による検査の料金 4,830円(3割負担の場合)
保険適応ですが、初再診料、処方料(処方箋がある場合)などは別途必要です。
【注意事項】
血液検査は原則として、中学生以上からとさせていただきます。また血液検査に適さない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
■金属アレルギーパッチテスト ■パッチテストパネル(S)
パッチテストはアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)の診断で、原因となるアレルゲンを確定する有用な検査法の一つです。
さまざまな皮膚症状に関係のありそうなアレルゲンが、金属や日用品、化粧品のなかに隠れている場合があります。
手や足の治りにくい汗疱性湿疹が、実は歯科金属が原因であることもあります。また、以前アクセサリーでかぶれたことがある方は、今後歯科治療での金属の使用・矯正の予定がある場合、金属アレルギーがあるかご心配のことと思います。
髪の毛を染めると頭がかゆくなる、仕事でカラー剤を使うと手が荒れる、このような場合には、パラフェニレンジアミンがアレルギーの可能性があります。
顔に湿疹を繰り返す場合は、ずっとご使用になっているものであっても、化粧品やシャンプーのアレルギーを起こしているのかもしれません。
慢性的に繰り返す湿疹、接触皮膚炎(かぶれ)、汗疱性湿疹(異汗性湿疹)、扁平苔癬、掌蹠膿疱症の患者様の中にはパッチテストにより原因がわかる方もいらっしゃいます。症状と何らかのアレルゲンの関係性が疑わしい場合にはパッチテストが有用な場合があります。一度お気軽にご相談ください。
パッチテストは背部等に複数のアレルゲンを貼り、アレルギー反応を起こさせます。
当院では、鳥居薬品のパッチテスト試薬金属(16種類)、佐藤製薬のパッチテストパネルS(22種類)を使ってパッチテストを行っております。また化粧品パッチテストの場合は、お使いになっている化粧品をご持参いただきます。
パッチテスト方法と判定
あらかじめアレルゲンと考えられる物質を皮膚テスト用パッチテープに付けておきます。
通常、背部に48時間貼付します。アレルゲンの種類が少ない場合には、上腕外側に貼付することもあります。貼付後48時間までは、汗をかく激しいスポーツは控え、シャワー、入浴は可能ですが、パッチテープを貼付した部位を濡らさないようにしていただきます。(汗をかきやすい夏季には、判定が難しいことがあり、秋~春に行うことをご案内しています。)
パッチテストの判定は複数回実施することが推奨されています。
貼付した2日後(48時間後)にパッチテープを除去し1回目の結果判定をし、3日後(72時間後)に2回目の結果判定、必要に応じて更に1週間後に3回目の結果判定を行います。
パッチテストの流れ
STEP 1. | 診察(初診時にパッチテストは行っておりません。) |
どのような症状が、いつ頃から発症しているかなどをお聞きします。 その上で、症状と何らかのアレルゲンが関係している可能性があると判断した場合に、次回以降のパッチテストのご予約(最低3日)をお取りいたします。当院では、以下のスケジュールの都合上、 ① 火曜日スタート ② 土曜日スタート とさせていただいております。 |
|
STEP 2. | アレルゲンを貼付(通常、火曜日か土曜日となります。) |
背中もしくは上腕に、アレルゲンを付けた皮膚テスト用パッチテープを貼ります。 | |
STEP 3. | 2日後判定(除去)(通常、木曜日か月曜日となります。) |
パッチテストを行った2日後に診察し、パッチテープを剥がしたところが赤くなっていないか1回目の判定をします。 | |
STEP 4. | 3日後判定(通常、金曜日か火曜日となります。) |
さらに翌日のパッチテスト3日後に、赤くなっていないか最終的なアレルギー判定をします。 |
STEP 1. | 診察(初診時にパッチテストは行っておりません。) |
どのような症状が、いつ頃から発症しているかなどをお聞きします。 その上で、症状と何らかのアレルゲンが関係している可能性があると判断した場合に、次回以降のパッチテストのご予約(最低3日)をお取りいたします。当院では、以下のスケジュールの都合上、 ① 火曜日スタート ② 土曜日スタート とさせていただいております。 |
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STEP 2. | アレルゲンを貼付(通常、火曜日か土曜日となります。) |
背中もしくは上腕に、アレルゲンを付けた皮膚テスト用パッチテープを貼ります。 | |
STEP 3. | 2日後判定(除去)(通常、木曜日か月曜日となります。) |
パッチテストを行った2日後に診察し、パッチテープを剥がしたところが赤くなっていないか1回目の判定をします。 | |
STEP 4. | 3日後判定(通常、金曜日か火曜日となります。) |
さらに翌日のパッチテスト3日後に、赤くなっていないか最終的なアレルギー判定をします。 |
*場合によっては更にパッチテスト1週間後に判定を行うこともあります。(通常、翌週火曜日か翌週土曜日)
【①火曜日スタート】
火曜日(貼付)→木曜日(除去)Day2判定→金曜日Day3判定→(翌週火曜日Day7判定)
【②土曜日スタート】
土曜日(貼付)→月曜日(除去)Day2判定→火曜日Day3判定→(翌週土曜日Day7判定)
調べられる項目について
①パッチテスト試薬金属
鳥居薬品のパッチテスト試薬金属では歯科治療で使用される金属のうち頻度の多い16種類を調べることができます。
検査項目内容(計16項目) |
塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化第二スズ、塩化第二鉄、塩化白金酸、塩化パラジウム、塩化マンガン、三塩化インジウム、四塩化イリジウム、臭化銀、重クロム酸カリウム、硫酸ニッケル、塩化亜鉛、塩化金酸、硫酸銅、塩化第二水銀 |
*17番目に陰性対照(ワセリン)を貼付してあります。
金属パッチテスト検査の料金 810円(3割負担の場合)
保険適応ですが、初再診料、処方料などは別途必要です。
②パッチテストパネル(S)
佐藤製薬のパッチテストパネルSを使用した検査では、日本人のアレルギーの原因として比較的頻度の高い、金属、香料、樹脂、防腐剤、ゴム硬化剤などに含まれる物質22種類を調べることができます。
No.9、No18は陰性対照のため除く
本剤はジャパニーズスタンダードアレルゲン24種のうち、ウルシオール、塩化第二水銀の2種類のアレルゲンは含まれていません。
パッチテストパネル(S)による検査の料金 5,780円(3割負担の場合)
保険適応ですが、初再診料、処方料などは別途必要です。
22項目のセット検査になりますので、個々の項目のみでの検査はできません。
(例えば、カラー剤のかぶれが心配なので、パラフェニレンジアミンのみ検査したいというご要望にはお応えできません。)
■原発性腋窩多汗症(脇汗)
原発性局所多汗症は、頭部・顔面、手のひら、足の裏、わきの下(腋窩)といった局所に、温熱や精神的負荷の有無に関わらず、日常生活に支障をきたすほど大量の発汗を生じる疾患です。
特に腋窩に生じる場合、原発性腋窩多汗症と定められます。国内の有病率は5.75%(※)、約20人に1人が原発性腋窩多汗症を有すると報告されています。過度な発汗は患者さまの学生生活や就業などをはじめとする日常生活に影響を及ぼし、その精神的な負担も大きいとされます。
本邦では原発性腋窩多汗症の保険診療に適用のある治療薬は限られており、新たな治療選択肢が求められていました。
2022年5月23日、原発性腋窩多汗症治療剤「ラピフォート®ワイプ2.5%」(一般名:グリコピロニウムトシル酸塩水和物)が新発売となりました。
本剤は、米国Dermira社が開発した外用剤(本邦未承認)の処方を一部変更したワイプ製剤です。有効成分であるグリコピロニウムトシル酸塩水和物は、発汗に関与する神経伝達物質であるアセチルコリンのムスカリン受容体への結合を阻害し、汗の産生を抑制します。
1日1回夜就寝前、ワイプ1枚を用いて薬液を両腋窩に塗布することで、原発性腋窩多汗症に対する作用を示します。1回使い切りのワイプ製剤のため、簡便かつ衛生的に使用することが可能です。
※9歳以上から処方可能です。緑内障・前立腺肥大・妊娠中・授乳中の方は使用できません。
(※)2. Fujimoto T. et al., pidemiological study and considerations of primary focal hyperhidrosis in Japan: from questionnaire analysis. J Dermatol. 40, 886-90 (2013)
■原発性手掌多汗症(手汗)
原発性手掌多汗症とは、特に病気などの明らかな原因がないにもかかわらず、手のひら(手掌)に日常生活に支障をきたすほど、たくさんの汗が出てしまう状態です。原発性手掌多汗症の患者さまは国内で約493.1万にいると推計され¹、決して珍しい疾患ではありません。多くは10代頃(平均発症年齢13.8歳)¹に症状が現れはじめ、学校生活や社会生活に支障をきたしていることが少なくありません。(¹Fujimoto T,et al.:J Dermatol 2013;40(11)886-890.)
これまで原発性手掌多汗症(手汗)の治療としては、塩化アルミニウム製剤(保険適用外)、水道水イオントフォレーシス、内服抗コリン薬、ボツリヌス毒素製剤(保険適用外)、交感神経遮断術(手術)などがありました。
今回2023年6月1日より本邦初の外用抗コリン薬(アポハイド®ローション20%)が発売になりました。原発性手掌多汗症の患者さまがより簡便に使用できる製剤となっておりますので、手汗でお困りの方は、是非ご相談ください。
【アポハイド®ローション20%について(2023年6月1日発売)】*12歳以上
アポハイド®ローション20%は、日本で初めて「原発性手掌多汗症」に対して保険適用が認められた外用薬です。アポハイド®ローション20%は手のひらの皮膚から吸収され、皮膚の下にある交感神経から出される発汗を促す物質をブロックすることで、過剰な発汗を抑えることが期待されます
【アポハイド®ローション20%の作用】
12歳以上の原発性手掌多汗症の患者さま284例を対象にしたアポハイド®ローション20%群とプラセボ群による比較試験の結果、投与4週後に半数を超える患者さま(52.8%)の発汗量が50%以上改善しました。
※緑内障・前立腺肥大の方は使用できません。妊娠中・授乳中の方は使用しないことが望ましいとされています。
また、発汗量が50%以上改善した患者さまの割合(全体)は投与12週後60.7%、24週後72.0%、36週後66.7%、52週後72.6%、最終評価時71.3%と、長期に継続することで安定した改善がみられました。
【アポハイド®ローション20%の使い方】
1日1回就寝前に、適量を両手掌全体に塗布します。(1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5プッシュ分を目安とします。)
【アポハイド®ローション20%の副作用】
主な副作用(1~5%未満)として、適用部位皮膚炎、適用部位そう痒感、適用部位湿疹、皮脂欠乏症、口渇が報告されています。
【アポハイド®ローション20%の薬剤費】
お薬代は、1本あたりで約700円(3割負担の場合)となります。1本は1回5プッシュ使用で7日分となりますので、14日分で2本となります。なお新薬のため、「1年間は、14日分を限度に処方すること」とされていますので、1回の診察で2本までが上限となります。*初診・再診料は別途必要となります。