2024/09/13
明日、9月14日は「世界アトピー性皮膚炎の日(World Atopic Eczema Day)」です。
これは患者さんの健康と日常生活に深刻な影響をもたらすアトピー性皮膚炎に対する認識、理解、対処法などを広めることを目的に制定されたものです。
アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみを伴う湿疹を主症状とする皮膚疾患です。
患者さんの多くはアレルギーを起こしやすいアトピー素因という体質を持ち、そのため様々なアレルギー物質がバリア機能の低下した皮膚から入りやすくなり、炎症を起こし、かゆみを生じます。かゆくなることで、搔いて皮膚を傷つけ、さらに皮膚のバリア機能を壊してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
アトピー性皮膚炎の一般的な治療法は、炎症を抑える「ステロイド外用薬」、「タクロリムス軟膏(プロトピック)」、「デルコシチニブ軟膏(コレクチム)」などの塗布が基本です。
多くの方は、これらの外用薬を適切に使うことで症状をコントロールし、年齢とともに症状が改善していきます。
しかし、症状が改善しない中等症から重症の患者さんや、外用薬の副作用などで使用できる外用薬が制限されてしまうケースもあります。
近年では、外用薬以外のアトピー性皮膚炎の治療薬の開発が進んでいます。
とくに2018年に発売されたデュピクセントは、バイオテクノロジーの技術を駆使して、生物から産生されるたんぱく質などの物質を応用して作られる「生物学的製剤」のひとつです。
生物学的製剤の特徴は、アトピー性皮膚炎の発症に関わる炎症やかゆみ、バリア機能低下を引き起こすサイトカインという物質、「インターロイキン(IL)」の「IL-4」と「IL-13」を根本的にブロックすることです。高い作用が期待でき、大きな副作用もみられないことがほとんどです。
最も新しい生物学的製剤は2024年5月に発売された、IL-13阻害薬「イブグリース(一般名レブリキズマブ)」です
初めは2週間に1回注射していきます。投与開始4週間以降は症状に応じて、1ヶ月に1回に切り替えることもできるため患者さんの負担が軽減できるのが特徴です。新薬のため発売から1年経過するまでは自己注射ができないため、しばらくは定期的な通院が必要となります。
その他にもJAK阻害薬などの内服薬もあり、外用薬以外のアトピー性皮膚炎の全身療法の比較表を掲載しましたのでご参考にしていただければと思います。
これまでアトピー性皮膚炎でステロイド外用薬などでは、なかなか改善が得られない方は、現在さまざまな注射薬、内服薬が登場していますので「治療してもアトピー性皮膚炎はよくならない」と諦めずに一度ご相談ください。
アレルギーに関する情報サイト「アレルギーi」に
世界アトピー性皮膚炎の日キャンペーン|アレルギーi (allergy-i.jp)の掲載があります。
ご興味ある方は、是非ご覧ください。